ヒノキの小屋

『こころを編む』

トランペットおじさん

 運動の習慣として、私は週に一回ランニングをしています。そのランニングコースの道中で、毎回「ある人」を見かけます。

 「トランペットおじさん」です。

 おじさんは、いつも同じ場所で、同じ時間に必ずトランペットを吹いています。晴天の下、無我夢中でトランペットを吹く姿は、某ジャズ漫画の主人公を思い起こさせます。そのうち、私はおじさんに会うことに期待しながら走るようになりました。

 

 現代を生きる私たちは、忙しさのあまり、趣味に費やす時間を失っているように感じます。やりたいことがあるのに、あれやこれやと課題が積み重なり、気がつくと1日が終わっている、という方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。

 しかしトランペットおじさんを見ていると、好きなことに熱中することの大切さに気付かされます。走りながら通り過ぎるわずか数秒の間に、毎度心を打たれるのです。

 

 皆さんには、何か夢中になれることはありますか。忙しいからこそ、現実から一旦離れて、好きなことに没頭する時間が必要です。目の前にある課題を一旦止めて、やりたかったことに時間を使ってみませんか。