ヒノキの小屋

『こころを編む』

『もったいない精神』からの脱却

 今から十数年前、『もったいない』という言葉が世界中で話題になりました。2004年にノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんという方が、環境を守る世界共通語として、この『もったいない』という言葉を提唱したのがきっかけです。
 
 それからしばらく経った現在、私たちはできるだけ無駄なことを省き、何事においても節約する社会の中で暮らしています。もはや『もったいない』という言葉は、日々の生活に染み付いている言葉ではないでしょうか。
 
 一方で、私たちには節約するべきではないもの、出し惜しみするべきではないものもあると思います。それは例えば、大切な人との時間です。忙しなく過ごしている中で、皆さんは大切な人とどれほどの時間を過ごせているでしょうか。
 
 日々の『もったいない精神』に駆られて、本来大切にするべきものまで、節約しようとしているかもしれません
 
 本当に大事なものを手放すことなく、有意義な毎日を過ごしていきたいですね。
 
 

マルチバース革命

映画.comより

 

 ソニー・ピクチャーズによるアニメーション映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を鑑賞してきました。2018年のアカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞した『スパイダーマン:スパーダーバース』の続編となります。

 

 観てきた感想をネタバレなしでお届けします。

 

<あらすじ>

マルチバースを行き来できるようになった世界で、マイルスはグウェンに再開する。彼女に導かれ、マイルスは選び抜かれたスパイダーマンたちが集結した世界に足を踏み入れる。マイルスは、スパイダーマン愛する人と世界を同時に救えないという運命を知り…

引用:スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品・上映情報 - 映画ナタリー

 

 

 本作で衝撃を受けたのが、映画におけるマルチバース(多元宇宙)の可能性です。近年、マルチバースを題材にした映画が増えてきています。この概念の導入によって、これまでは描くことができなかった多様な世界観を一つの映画に盛り込むことが可能になりました。

 

 もちろん本作においても、マルチバースの自由さと多彩さが存分に生かされています。3Dタッチのスパイダーマンやコミック風のスパイダーマン、さらにはレゴのスパイダーマンなど、次元を超えた数多くのスパイダーマンが登場します。さらにアニメという要素も加わり、2時間半の間にさまざまな描写・表現を楽しめました。

 

 まさに映画の運命を変える作品でした。

 

マルチバースとは多元宇宙論(multiverse)の英語読み。創作においては複数のシリーズからキャラクターを集めた世界観を指す。引用:マルチバース (まるちばーす)とは【ピクシブ百科事典】

 

ありがとう100%

 

 先日、コンビニに行った時の話です。その日はとても疲れていたので、コンビニ弁当を買ってさっさと帰ろうと思っていました。

 

 整列された商品棚から弁当を選び、足早にレジへ向かったその時です。

 

 能面のような顔をしている私に対して、若い店員さんが優しい笑顔で「いつもありがとうございます」と言いました。あれほど心のこもった「ありがとう」を言われたことがあったでしょうか。店員さんのたった一言によって、私の冷め切った心が一瞬で温まりました。

 

 それはまさに、100%の「ありがとう」でした。

 

 今朝、皆さんが家族や友人にしたあいさつは何%でしたか?気付かぬうちに、心のない上っ面だけの言葉になってしまっているかもしれません。

 

 しかし、何気ない一言でも、それが相手にとって『大きな助け』となることがあります。言葉の影響力は、思っている以上に大きいのです。

 

 今日こそ、真心を込めた100%の言葉を相手に伝えてみませんか。

 

AIと愛

映画『M3GAN/ミーガン』公式サイトより 

 

 ジェームズ・ワン監督の最新作ホラー映画『M3GAN』を鑑賞してきました。独特なダンスシーンがSNSで大バズりした話題作です。

 

  観てきた感想をネタバレなしでお届けします。

 

<あらすじ>

心に傷を負った少女の親友になるようにプログラムされたAI人形<M3GAN>の行き過ぎた愛情と狂気を描く、制御不能サイコ・スリラー。

 

引用元:映画『M3GAN/ミーガン』公式サイト

 

 本作では、AIの便利さに依存してしまう登場人物の姿が印象的です。“傷ついた少女の心を癒すため”、大人たちは万能なAI人形『ミーガン』を創り出します。その結果、本来は人によって為されるべき「愛情を注ぐこと」までミーガンに任せてしまうのです。

 

 このAIへの依存は、現実に生きる私たちの間でも起きていることではないかと思います。今の時代、コンピューターは人の代わりに何でもやってくれます。しかし、そのコンピューターを用いることで、大切な人とのつながりが奪われてしまっていないか、注意が必要です。

 

 愛をもたらすのは、AIでしょうか、それとも人でしょうか。

 

 ※ちなみに本作はホラー映画ですが、ホラー要素は薄く、キャッチーな作風でどなたでも楽しめます!

 

 

 

Happy rainy day!

 

 梅雨の季節。どんよりとした天気が続いています。雨の日は外出できず、なんとなく気分が下がりますよね…

 

 しかし!雨の日だからこそ、できることもあります。

 

 たとえば私は、先週Amazon Primeで映画を2本鑑賞しました。ちょうどその日は、雨のおかげでもともと入っていた予定がなくなり、自宅でゆっくりと映画の世界に浸ることができました。部屋を真っ暗にすると映画館さながらの気分が味わえて、オススメです。

 

 室内でできることというのは、思っている以上にたくさんあります。読書、映画鑑賞、料理、プラモデル、DIYボードゲーム、ゆっくり風呂に浸かる、などなど。普段は外に出て遊ぶことが好きな方も、この機会に室内でできる『楽しみ』に目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

 「できない」から「できる」に視点を変えることで、身近にあるちょっとした幸福に気づくかもしれません。雨の日こそ、上を向いて明るく過ごしたいですね。

『怪物』は誰?

映画『怪物』公式サイトより

 

 是枝裕和監督の映画『怪物』を鑑賞してきました。カンヌ国際映画祭で2冠を受賞した話題作です。本編をじっくり味わいたかったので、できるだけ情報は入れずに映画館へ向かいました。

 

 観てきた感想をネタバレなしでお届けします。

 

<あらすじ>

大きな湖のある町を舞台に、無邪気な子供たちの間に起きた日常の喧嘩が、大人たちを巻き込んで大事件へ発展していく。

引用元:怪物の作品情報・あらすじ・キャスト - ぴあ映画

 

 上映が始まって数分間、私は本作が「いじめを取り上げた学園ミステリー」だと勝手に決めつけ、ストーリーを予想しながら観ていました。

 しかし、第2部になってからその予想を全く覆され、物語の展開に衝撃を受けました。社会の裏側を丸裸にしたような、深いメッセージ性が込められていました。

 

 映画全体を通して感じたことは、人は誰しも、自分が見ている社会の一部分だけを切り取って物事を判断している、ということです。

 自分の視点から見て、『怪物』のように思える人でも、その人にはその人なりの立場や事情があります。この作品から、表面上の情報だけで安易に他者を測ってしまう人間の本性を突きつけらたような感じがしました。

 

 そして何より、俳優陣の演技が素晴らしい。主要キャストはもちろんのこと、特に子役2人の快演には度肝を抜かれました。

 

 『普通』とは何か、また『普通じゃないこと』は本当に普通ではないのか…深く考えさせられるいい意味で重たい作品です。この映画、普通ではありません。

トランペットおじさん

 運動の習慣として、私は週に一回ランニングをしています。そのランニングコースの道中で、毎回「ある人」を見かけます。

 「トランペットおじさん」です。

 おじさんは、いつも同じ場所で、同じ時間に必ずトランペットを吹いています。晴天の下、無我夢中でトランペットを吹く姿は、某ジャズ漫画の主人公を思い起こさせます。そのうち、私はおじさんに会うことに期待しながら走るようになりました。

 

 現代を生きる私たちは、忙しさのあまり、趣味に費やす時間を失っているように感じます。やりたいことがあるのに、あれやこれやと課題が積み重なり、気がつくと1日が終わっている、という方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。

 しかしトランペットおじさんを見ていると、好きなことに熱中することの大切さに気付かされます。走りながら通り過ぎるわずか数秒の間に、毎度心を打たれるのです。

 

 皆さんには、何か夢中になれることはありますか。忙しいからこそ、現実から一旦離れて、好きなことに没頭する時間が必要です。目の前にある課題を一旦止めて、やりたかったことに時間を使ってみませんか。